なんでも屋 神…第二幕
一葉は難しい言葉が飛び交う中でも、奏の眉間に皺を寄せた神妙な顔付きで、何とか話しに付いてきている。



それは、手に持ったグラスを置く事を忘れる程だった。



ドラッグカクテルに至っては、ガッコで教えられた計算式で答えは出せない…。



一つの例を出せば、アッパー系とダウン系…アッパー系をプラスとし、ダウン系をマイナスとして足す…その二つは相殺されず、大きくプラスに成る事も有れば、その逆もまた然り。



止まる事の無い昂揚と恍惚感…止め処なく身体の芯から溢れ出る筋肉の調べ…また、死んだ方がましだと思える程のバッドトリップに陥る事も有れば、乱心から貪るように異性を求める事も有る。



「致死量のギリギリを見極め、依存性を優先させたクラブドラッグ。だから製造元はドラッグマスターを名乗ってるって訳か…でもその依頼は俺じゃ無理だぞ。」



普通のサラリーマンが、痩せ薬と称してネット販売をしている時代だが、それだけじゃなく、仕入先が直に小売りしている訳でも無いのなら、奏には悪いがお手上げだ。
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