なんでも屋 神…第二幕
自分の分を買う為小銭を稼ぐ奴…バイヤー(売人)を生業とする奴…中には仕入先から直に卸して貰っている売人も居るだろう。



そんな奴を探すのは、砂漠に落としたコンタクトレンズを探すようなもの。



大体、街を駆けずり回って手当たり次第に聞いたとしても、売人が素直に話してくれる筈が無い。



「無理な話しだってのは分かってる。だが、ウチのスタッフの中でも常用者が出たんだ。これ以上手を拱いている訳にもいかない。」



…そんな事を言われてもな…何回も言うようだが、俺には解決方法が見つからない。



勢いに任せ、水っぽくなったフレンチ・カクタスを飲み干した。



「このクラブで、これからもデカいイベントをしていく算段でいるんだ。生安(生活安全課)や麻取り(麻薬取り締まり局)に目を付けられると困るんだよ…。」



奏が俯くと同時に、VIPルームはしんと静まり返り、一時の静寂がこの空間を支配した。
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