赤い愉楽
平野がドアから出て行くと
一瞬ほっとした表情を浮かべたマスター。



「おい!クドー!


もう出てきていいぞ!」





マスターが呼びかけると
ドアの奥から暗い顔の男が出てきた。


左腕全体を覆うタトゥーを摩りながら
クドーはカウンターに座るなり


バーボンをあおる。


「クドー、どうすんだ?」


クドーはマスターの顔を
見据える。


「もう一杯くれ」


クドーは一気に飲み干すと
グラスを壁にたたきつけた。



砕け散るガラスを
何も言わず見届けたクドーは


マスターに向き直り
押し殺した声でつぶやく。



「あいつ、誘ってやがる」
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