赤い愉楽
クドーの言葉に
マスターも黙ってうなづく。



「クドー、こいつは罠だぜ」



「でもな」


クドーはにやりと笑う。



「面白そうだ」



マスターはその言葉を聞くと笑い始めた。
クドーもしわがれた声で笑う。



「のってやるよ、お前の誘いに」



そう言ってクドーは煙草に火をつけた。



マスターはまた黙ってグラスを拭き始めた。



店内に静かに聞こえるジャズの音色に
合わせてマスターは身体を左右に動かす。


対してクドーはうつむいたまま
全く動かなくなってしまった。


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