赤い愉楽
「主人の最期はどんな様子だったんですか!」


怜奈の言葉に眼を見開くマスター。


「あんた…あの殺された人の…」


怜奈は黙ってうなずく。



マスターは下を向いて首を振る。



「そうか…残念だったな。


でも俺は警察に話した以上のことは知らない。


ただ…」


マスターは怜奈を見つめる。


「あんたの旦那は息が絶えるまで
ずっと同じ言葉を繰り返してたよ。

そう…あんたの名前をな…


最期まであんたのことを心配してたんだろう。


さあ…俺は忙しいんだ。帰ってくれ」
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