赤い愉楽
思わず奥田の顔を凝視する怜奈。


「どうしました?」


奥田が不思議そうな顔をしている。


怜奈はわかったのだ。


怜奈はとても幸せな気分になった。


なぜなら自分の夫が
心の底から自分のことを愛していたことが


本の一文を読んでわかったのだ。


死してなお
怜奈を守ろうとする夫の心に


心から嬉しいと思う怜奈。



夫の遺品の本を抱き締める怜奈。


そして奥田の方を向いてこう言った。



「うれしいわ。奥田さん。


ありがとう」
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