赤い愉楽
<脅迫されて書かれた文字に多く見受けられるものである>
最後の行を読んでにやりとする平野。
中村巡査にはとっておきのケーキを与え
何とか落ち着かせる。
「わーい!ケーキケーキ!」
にこにこしてケーキをほおばる中村巡査。
「ところで、お願いがあるんですけど?」
クリームを口の周りに付けた中村巡査が
何?という表情。
「中村巡査パソコンは得意でしたよね?」
当然という感でうなずく中村巡査。
「中村巡査。今から奥田さんの
心の中をのぞいてはもらえないでしょうか?」
ケーキを食べる中村巡査の手が止まった。
雑然としたオフィスの空気も止まったかの様。
平野は一言言い残すと
また椅子に座り瞑想に入ったようだ。
中村巡査は黙ったまま
ケーキが乗っていた皿を
給湯室へと下げる。
奥田の心の中にダイブしろという
命令は
オフィスの空気を一変させてしまったようだ。
長い夜はまだ続いていく。