茜ヶ久保マリネの若気の至り
そういえばおかしいのだ。

リヴァイアサンは先程まで丸腰だった。

なのに私が海刀神で斬りかかった次の瞬間、彼は得物を手にして受け太刀する。

どこからこの得物を取り出したのか。

「いつだって取り出せるさ」

彼の鍔迫り合いにこもる力が増した。

「これは僕の『頭角』だからね…!」

「頭角!?」

私は驚く。

それならば、この得物に装飾がない事も、突如得物が出現した事も納得がいく。

つまりリヴァイアサンが持っているのは刀剣ではなく、彼が海竜の姿になった時に頭に生えている二本の角…その一本なのだ。

鋭く、強靭で、下手な刃よりも切れ味がある。

海の覇権を握る者の頭頂を飾るに相応しい、凶悪な王冠だった。

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