茜ヶ久保マリネの若気の至り
だが。

「ちっ」

私は舌打ちする。

直後、咄嗟に身を捻るものの。

「うぐっ!」

リヴァイアサンの頭角の尖端が、背後から私の背中に突き立てられた!

同時に私が喉笛をかっさばいた筈のリヴァイアサンの姿が、バシャッと水になって地面に落ちる。

水傀儡の幻術。

幻惑系魔法の初歩の初歩だ。

「怒りに我を忘れたかい?こんな基本も見破れないなんて。それとも」

突き立てた頭角をグリリと抉るリヴァイアサン。

「ぐうっ!」

鮮烈な痛みが、私の脳天まで突き抜けた。

「茜ヶ久保マリネの音に聞こえた実力は、ただの誇張でしかなかったのかな?」

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