茜ヶ久保マリネの若気の至り
確かに背後を取られるというのは、あまりにも致命的。

このままリヴァイアサンが頭角を押し込めば、心臓まで貫かれて絶命は必至だろう。

しかし。

相手は海の覇権を掌握せし海竜王だ。

考えてもみてほしい。

これ程の魔物ならば、勝ちを確実に拾える段にならねば油断など見せない。

そしてその油断を誘うには、己が身を圧倒的窮地に晒すしか方法がないではないか。

「む?」

リヴァイアサンがやっとその異変に気付く。

私の背中に突き立てられた頭角が、押す事も引く事もできなくなったのだ。

そうさせているのは、私の体内を巡る血液。

水属性魔法の効果対象は、何も水に限った事ではない。

液体の形状をもつものならば、全てその支配下に置けるのだ。

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