茜ヶ久保マリネの若気の至り
あの子達が…?

侍女の姿を思い浮かべながら、私はリヴァイアサンと対峙する。

緊張の糸は張り巡らせたまま。

この間、殺し合いをしたばかりの相手だ。

口では助けに来たと言っても、いつ背後から刃で貫かれるかわかったものじゃない。

「そんなに気を張るなよ、マリネ」

リヴァイアサンが苦笑いした。

「クラーケンに傷を負わされているんだろう?楽にしていないと体力をどんどん消耗してしまう」

「よく言うわ…」

確かにクラーケンに食い千切られた胸の傷が痛む。

「私が消耗して戦えなくなった方が、あんたには好都合なんじゃないの?」

汗びっしょりになりながらも、警戒心は解かない。

「そんな事は望んでいない。僕が望んでいるのは」

リヴァイアサンは、まさに瞬く間に私の間合いに侵入。

あっという間に私の腰を抱き寄せた。

「君の謝罪の言葉だけだよ」

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