茜ヶ久保マリネの若気の至り
「マリネ」

魅了の魔法を行使する代わりに、リヴァイアサンは私に顔を近づける。

「近いわよ…」

彼は相当な男前だ。

その端正な顔を唇が触れる寸前まで近づけられると、流石の私も頬が熱くなる。

「君に無理矢理謝罪させても意味がないんだ…『リヴァイアサンがサハギン達をけしかけていると疑ってごめんさない』…それだけ言ってくれさえすれば、僕はすぐにでも君の味方につき、クラーケン討伐に協力する」

ググッと。

私の腰を抱く手に力がこもる。

端正な顔が更に近づく。

「もっ、もうっ…」

接近しすぎたせいで吐息が当たり、おかしな気分になりそうになった…というのは、ここだけの話だ。

「あんたがサハギン達をけしかけているって疑って悪かったわよ…これでいい?」

「…素直さが感じられないが…まぁいいだろう」

苦笑いして、リヴァイアサンは私を自由にした。

「さぁ、これで海竜王たるこの僕は君の剣だよ…人魚の女王様」

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