茜ヶ久保マリネの若気の至り
恭しく頭を下げるリヴァイアサンにどこかやりづらいものを感じつつ、私は海刀神を顕現させる。

何にせよ、ここから脱出しなければならない。

幸いにして、自称『茜ヶ久保マリネの剣』リヴァイアサンがそばにいる。

サハギン相手程度ならば、苦戦する事はないだろう。

「さて、行こうかマリネ」

スッと。

衣擦れの音すら立てずに踵を返したリヴァイアサンが、右手に頭角を出現させた。

「露払いは僕が務める。君は脱出に専念して構わない。それとも…」

爽やかな笑み。

しかしその笑顔の裏には、リヴァイアサンの腹黒さが見え隠れしていた。

「傷が痛むようならお姫様抱っこも厭わないけど?」

「結構よ!」

憤っていいやら赤面していいやら。

ともかく私は、不潔なこの牢屋を立ち去る事にした。

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