記憶 ―惑星の黙示録―


ちょっと…
こんな状況で喧嘩しないでよ…


緊張感の無い二人の会話に、少しだけ心が和むのが分かった。

今、独りじゃなくて本当に良かったと思う。


自分が死んだかもしれない、
死んでいるかもしれない、

そんな状況なのに、
少しだけ冷静な自分を取り戻せた気がした。


ワン!
『ホントにちょっと分かったもんッ。俺も、今の世界の前に~どっか違うトコに居たかもよ!って話でしょッ!?』

えっへん。
そう短い鼻を高く上げて、ピッと座り直してリュウさんに答えを求める。


「そう、コンちゃん偉いなぁ!」

『おぉおぉぉッ!合ってた!もっと褒めていいぞッ!で、俺は前はどこに居たんだッ!?』

その言葉に、リュウさんはピタリと動きを止めた。


「……!?」

コンちゃん…
多分、無意識にだろうけど…
何ていう事を聞くの…

これまでの話だけでも、充分に込み入った内容なのに。
チャレンジャー…

私はそんな事、
怖くて聞けないと思う。


「…コン!それは多分聞いちゃいけない事だよ!?」

ハルカちゃんがコンちゃんにそう言いながら、恐る恐るリュウさんの様子を伺っていた。


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