記憶 ―惑星の黙示録―
「…思い出したでしょ?あの日の俺との事。」
こくり、と頷く私に…
周りの三人が息を飲む音。
でも…
それだけ?
思い出さなきゃ苦しいのは、
それだけだっけ…?
「…さて、じゃあ皆さんに質問です。月の裏側には何があるでしょうか~?」
新さんは私の右手を自分の手と繋げたまま、周りの三人に聞いた。
「今、そんな事聞く状況!?」
「…っていうか、本当なの!?奈央?聞いてないよ~?」
そう騒ぐ三人に、
新さんは真剣な表情で…
「重要な質問なんだよ」
と答えを催促した。
「…月の裏側?行った事ないし分からないよ…」と、愛里。
「何もない」と、絵美。
「え、エイリアンの基地…?」と、梓さん。
新さんは優しく笑いながら、ふぅ…と溜め息を漏らす。
「あぁあ…。皆、現実に囚われすぎだよ…?じゃあ、奈央。分かるはずだよ?『月の裏側』には…何が在る?」
じっ…と、
真剣な眼差し。
…ちりんっ…
月の裏側…
私、知ってるんだよ…
「…はな…」
「ん?」
「…花畑が在る…」
知っているのに、
知らない振りをしていたの。
だって、
「秘密」なんでしょ…?