記憶 ―惑星の黙示録―


新さんは嬉しそうに笑いながら、どこか遠くを探る私に質問を続ける。


「奈央…。最近さぁ、綺麗な『鈴の音』が聞こえる事はない…?」

うん、
…聞こえるよ?


ちりん、ちりんっ…

って、
ほら…今も…。


「…どうして、新さんが…それを知ってるの…?」

貴方にも、
聞こえるの…?

だから、逢いに来てくれたの?


もう…
誰が見ていても構わないから、
泣き出してしまいそうだった。


消えたんじゃない…

記憶は、
私の心の中に眠っていた。



意地悪な貴方が…

私の質問には答えずに、
ふふふ、と微笑む。


あの、
鈴の音色とともに…



「…大好きな奈央に、早く気付いて欲しかったから、きっと一生懸命に鳴らしていたんだよね…?」

「……ぇ?」


ちりんっ…ちり…



「――ほら、この音…」

うん、
この音も…

知っているの、私。

誰が、
鳴らしているの…?



「…ふふ。この音はさぁ、どこから聞こえて来るんだと思う…?」

どこ…?

耳を澄ませば、
とても近くから聞こえて…


「……ぁ…」

涙は、とっくに溢れていた。



――…ここ。


片手で、
自分のお腹に…そっと触れた。



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