妹系男子。



**


「……麟太郎君」

林さんは優しくつぶやく


俺は冷たくなった手を
肩に乗った林さんの手に添えた



彼女はこの日から俺のことを名字で呼ぶことをしなくなった



リン「……俺のせいだよ」


冬の風が虚しく頬にあたる



アキ「……どうして??お母さんには麟太郎君がいたじゃない」


俺の表情を覗く彼女の首筋に
柔らかい茶色の髪が滑り落ちる



リン「……どうかな、鈴と父さんはそう思ってないだろうし」



呼吸も落ち着いてきて
涙をぬぐった指は乾き始めていた


アキ「鈴??」

リン「それでもやっぱり、鈴と父さんと会いたかったに決まってる」


俺は冷静になればなる程
悲観的になる自分に嫌気がさしていた



リン「母さんの最期だったんだ、鈴と父さんだって会いたかったよ」


後悔したってしきれない
もう誰も母さんとは会えないんだから



鈴だって父さんだって
俺のことをズルいと思っただろう



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