プリンセスの条件
「え!?」
ミサトが驚くのも無理はない。
「だってあんたたち、見てるこっちが痛いくらいラブラブじゃん!!」
あたしもそう思ってる。
大学ではたいてい一緒にいるし、もちろん行きと帰りも一緒。
腕組んで街を歩いて、キスだっていっぱいしてる。
だけど、それだけなんだ。
「翔太、前みたいに泊まってもくれないし、家にいるときはぜったいに触ってくれない。キスしようとしたら、うまくかわされるし……」
「へー。そんなのぜんぜん分かんなかったよ」
「付き合ってみてやっぱり、幼なじみの方がよかった……とか思ってんのかな」
ジワッと目尻に涙が溜まる。
「マイ……。心配ないと思うけど。翔太くんに限ってそんな……。今日の夜は、一緒に過ごすんじゃないの?」
「約束……してないんだ」
「なんで?」
「うん……」
誕生日を迎える午前0時は、翔太と一緒に過ごしたい。
そう思っていたけれど、今の翔太の態度からすると、普通に断られそうな気がして怖くて、言い出せないまま1週間が経ってしまった。
「翔太、明日のことも忘れてるかもしれない」
「まさか!毎年ちゃんとプレゼントもらってたじゃん!!」
「うん……、そうだよね」
翔太、ちゃんと覚えてくれてるよね?