ホタル


「…関係ないよ」

落とす様に、裕太が呟く。

「あの人達が傷付くなんて、お門違いだ。俺達のほうがずっと傷付いてきたんだっ。俺は許す気なんてない…」
「許さなくていいって、言ってたよ」

裕太の声を遮って言った。

「お父さん、恨んでいいって言ってた。あたし…あたしも、二人を今許すことはできない。でも…でもやっぱり、恨むこともできないよ。だって…」

裕太の目の前にしゃがんだ。
裕太を見上げる。目線がかち合う。


「だって、二人がいなかったら、裕太と出会えなかったでしょ?」



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