ホタル
表情が固まる。
核心をつく英里の一言。
言葉を出すことが出来ずに、そんな英里を見つめた。
「あたしがさ、何も気付かないと思った?どれだけ親友やってきたと思ってんの?」
「英里…...」
「…...あたしにも言えないような恋なの?」
あたしは逡巡した。
英里の真剣な目を見つめながらも迷ってしまった。
言える?英里に言える?
この忌まわしい気持ち、赦されない想いを。
英里はあたしをずっと支えてきてくれた。
英里に言えない事は今までなかった。英里だってそうだった。
でも。
沈黙だけが長かった。
ローズの香りが染み付く。
「…...別に」
先に口を開いたのは英里だった。
「別にさ、今すぐ言わなくてもいいよ。ただ朱音さ、一人で抱え込む癖あるじゃん?あたしにまで隠さなくていいよ。朱音の事はわかってるつもりだし、今更隠し事するような仲じゃないじゃん?」