ホタル


......小さな頃から優等生だった。

あたしがテストで100点をとったり何かのコンクールで賞をとったりすると、決まってお母さんが誉めてくれる。

あたしはその賞賛が欲しくて必死に勉強した。

運動も、人並み以上に頑張った。

率先してリーダーシップを取り、学級委員などのめんどくさい仕事も喜んで引き受けてきた。


全部全部、お母さんの甘い賞賛のためだった。


......気付いたのはいつだっただろう。

彼が誉められているのを見てからかもしれない。


客観的にそんなお母さんの姿を見て、あたしは一気に冷めた。


張り付いた笑顔にありきたりな誉め言葉。

心からの言葉じゃない。これさえ与えておけば満足だろうという類いのもの。

自分がまるで、餌を与えてもらうために喜んで芸をする犬みたいに思えた瞬間だった。


それからだ。

髪を染めピアスを開け、煙草に手を出した。

所謂『模範的』な優等生の殻を、自ら破っていったのだ。

でも長年培ってきた優等生としての資質は既に身体中の細胞に組み込まれていて、勉強も運動もそこそこやれば十分にトップが取れる。
『模範的』な優等生ではなくなったが、優等生であることに変わりはなかった。

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