幸せの条件
 悠を見送った後、私は、大型書店に向かった。

友馬を知ることから始めようとどんな小さな記事でも載っている雑誌をすべて買った。

持って帰れなくなり、私は、迎えの車を呼んだ。

 「・・・ただいま。」

実家の玄関から居間に私は、運ぶ。

テーブルの上に置き、片手で携帯電話のメールをチェックしながら家政婦が持ってきた冷茶を飲んだ。

滑ってバサバサと雑誌が床に落ちた。

その音に私は、ビクッとなった。

コップを置き、ため息をつきながら雑誌を拾う。

「ずいぶん買ったのね。」

ちょうど居間にきた姉が一緒に雑誌を拾う。

姉の手が止まった。

偶然にも開いたページを姉がジッと見つめる。

「友馬さんよ。」

「嘘でしょ?」

「本当よ。会社を辞めて今は芸能人らしいわ。」

「さくら、ごめん・・・。」

「お姉ちゃんがなんで謝るの?決めたのは私よ?」

私は、ソファに座る。

「どうするの?さくら。」

「考え中よ。」

「悪いことは言わない。今なら断われる。」

「ちょっと待ってよ。自分に男運がないのは分かってるつもりだわ。でも、友馬さんはなんだか違うのよ。」

姉が私の顔を見つめる。
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