幸せの条件
 藤本に促され、座布団に正座する。

「・・・直之君、まずいことしましたなぁ。」

藤本が証拠品の一部を直之の前に広げた。

「弁護士なら分かるだろ?」

直之がフッと笑う。

「いちいち口を出さないでください。さくらも騒ぎ過ぎだ。こんなの夫婦喧嘩の延長ですよ。少しやり過ぎたとは思っていますが・・・。DVだと言われるのは心外だ。さあ、さくら、帰ろう。」

目が笑っていない直之の笑顔に私の体が震え出す。

母が強く私を抱き締めた。

「出てって!!妹が怯えてるじゃない!直之さんのところに帰すわけにはいかない!」

姉が直之が私に差し出した手を叩いた。


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