双子とあたし。




―――あたしは奥の部屋に入ってみた。





「あたしを脅かすたって、そうはいかな…―――」






一瞬、あたしは目を瞬いた。






―――それは、見ちゃいけないもののように思えた。






光が当たらないのでよくわからないが…





―――赤黒いものが一人と…一つ…。







それは初めて見る色だった。




―――だけど、その原因のブツはわかる…。






「…血。」





ワイシャツのほとんどを赤黒い色で染めあげていた一人の男がこちらを向いた。




「――ひぃっ!」





その瞳は悲しみが混じった虚ろな目をしていた。



そんな姿にあたしは今まで出したことのない声をあげる。





―――これは、恐怖…――





「…かおる。」





聞き覚えのある声。







――――もしかしてっ…











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