双子とあたし。
すると、教室のドアが開く音がした。
「お、英介じゃん。どうした?」
「ちょっと…、ね。」
息切れた英介くんの声が聞こえる。
どうしたんだろ…。
急用かな?
「薫ちゃん、いる?」
―――…あたし?!
「おおっと、でました!彼女指名!」
「薫ちゃんならここにいるよー。」
あたしは押し出される。
「あいたっ!…ちょっと!」
あたしを確認した英介くんは机をかきわけるようにこちらに近づいてきた。
「悠斗君の試合始まっちゃうよ!一緒に行こうよ!」
思ってもみない誘い…、でも…。
あたしは申し訳なさそうにさっきのグループの子を見た。
「いいよ、いいよ!こういう行事は彼氏優先だもん!」
その言葉に全員が笑顔で頷いた。
「…ありがとう。」
あたしは小さく笑った。