双子とあたし。
そういえば、さっきの唇の近さ…数センチだった気がする。
あのまま、してもよかったかもな…。
ぼんやりと考えた俺は、はっ、と気付いてブンブンと首を横に振った。
…な、何考えてんだよ、俺!
もっと薫ちゃんを大切にしなきゃ…!
「――――英介くんっ!」
薫ちゃんが俺の裾を掴んで揺すっていた。
「けいの試合!もう始まっているみたい!」
確かに、気付いて耳を澄ましてみれば、ボールと走る音とホイッスルの音が交互に聞こえてくる。
「ほんとだ…!早くいかなきゃ!」
俺たちは向かった。
…いつの間にか、繋いでいた手はバラバラになっていた。