双子とあたし。
「…いい試合だったねー!」
薫ちゃんは満足そうに笑っていた。
「そうだね、楽しかったな…。」
俺は懐かしむように目を閉じて、空気を吸った…
そして、俺は思い出したように目を開いた。
「あ、悠太君の試合、観るんだよね?」
―――――…本当は、嫌だった。
薫ちゃんが彼を見るたび俺は嫉妬してしまっているのがわかる。
そんな俺はもっと嫌だ。
なにより、彼女の悠太君に対する態度が気になる…。
彼女自身は気付いていないみたいだ。
悠太君と話す時、どんな顔をしているのか…―――――。
「うん…、――――…ごめんね。」
薫ちゃんは俺の様子を伺いながら謝った。
「え、なんで…?」
俺は薫ちゃんを見つめると、彼女はバツが悪そうに呟いた。
「だって、彼氏がいるのに…男の人の試合を観る、ってさ、なんか悪いでしょ?」
―――――…気にしてくれているんだね。
「…大丈夫、悠太君は幼なじみでしょ?応援しなきゃ。」
君が少しでも俺を気遣ってくれるだけで、俺は嬉しい。
「…そう、なの?」
「うん!」
決して大丈夫とは言えないけれど、君が俺を思っているなら平気な気がするんだ。