双子とあたし。




「ここなら観やすいかな?」



俺たちはゴールの右端に陣取った。



「そうだねっ!ここだったらコート全体を見渡せるね!」



笑顔を彼女は見せてくれた。



「あ、あ…。」



思わず言いそうになった。



こんな所でいきなり言ったらきっと薫ちゃんは目を丸くするだろう。


それじゃ、俺が馬鹿みたいだ…。




薫ちゃんは気にしていないみたいだけど…。






悠太君がコートに入ってきた。



その時、女子の甲高い声が聞こえる。




「悠太君、モテるね。」



「うん、最近告白されるようになったんだって…。」




「…へぇ。」




―――…それは、俺が薫ちゃんと付き合うことになったからだと思う。




俺の友達が前に言ってた…。



――――『彼女には、藤間悠太という彼氏がいるかもしれない…!』



『…なんだよ、かも、って…。』



『いや、確実じゃないからさ。』



『じゃあ、なんでそんなこと言えるんだよ?』




彼は俺に、わかってないな、と首を振る。



『あんだけ仲良しなんだぜ?この学校の約半分は藤間悠太が好きなんだ。でも幸島薫という彼女かもしれない存在がいるから、みんな告白に振り切れないんだ。』








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