双子とあたし。




――――悠太君の試合は、薫ちゃんが言うように接戦だった。




残り30秒を切る…―――。


点数は同点。




悠太君にボールが回され、ゴールに向かって走っていく。


相手のディフェンスを何人も抜いて…。




「悠太いけー!」



薫ちゃんの歓声が聞こえたかのように、最後の相手を抜いて…―――





ピーーー。




終了の笛と同時にスリーポイントからシュートを放った。




体育館が水を打ったように静かになった。




――――どくん、と。




ボールは綺麗な放物線を描き、ゴールへおさまった…――――。





「うそ…」




薫ちゃんの驚いたような呟きが聞こえた。




俺も驚いて、ゴールの網から出されたボールを見る…



確かにそれは、くぐり抜けたのだ。





「すごい!すごいよ、悠太!」




薫ちゃんの声と共に、大きな歓声が沸き起こった。






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