双子とあたし。
その場を紛らわすようにあたしは話題を悠太に移した。
「――ゆうた…、その血って本物なの?」
「んっ?」
不意に声をかけられるとは思わなかったみたい…――。
悠太は顔に付いた血(もどき)を拭ってその手を見た。
「これ…、ケチャップと墨…。」
その手をあたしの顔に付けた。
「うわっ!何してんのよっ!」
意地悪な笑みを浮かべて呟いた。
「薫はそんな顔が似合ってるよ。」
「……そんな顔って?」
―――まさか、血塗られた顔のことですか?
「――…確かに。」
悠斗は頷いた。
「…え、それってどーなのよさ。
かわいいの?
かわいいから言ってんの?」
いつもバカにされるし、たまには二人をからかったって罰は当たらないだろう。
あたしは二人の顔を順々に覗き込んだ。
二人は顎に手をあて(いわゆる、考えるポーズ)考えた素振りを見せる。
「ね?どうなん?」
あたしは面白くて仕方がない。
―――普段のお返しだぁっ!
と思って食いかかる。
悠太と悠斗は目を合わせ、話し合ってもいないのにまるで、意見が揃ったような顔をした。
―――さぁっ!どう来るっ!
あたしは構えた。