双子とあたし。




その場を紛らわすようにあたしは話題を悠太に移した。





「――ゆうた…、その血って本物なの?」





「んっ?」





不意に声をかけられるとは思わなかったみたい…――。




悠太は顔に付いた血(もどき)を拭ってその手を見た。





「これ…、ケチャップと墨…。」




その手をあたしの顔に付けた。






「うわっ!何してんのよっ!」





意地悪な笑みを浮かべて呟いた。



「薫はそんな顔が似合ってるよ。」





「……そんな顔って?」





―――まさか、血塗られた顔のことですか?






「――…確かに。」




悠斗は頷いた。




「…え、それってどーなのよさ。


かわいいの?


かわいいから言ってんの?」





いつもバカにされるし、たまには二人をからかったって罰は当たらないだろう。




あたしは二人の顔を順々に覗き込んだ。




二人は顎に手をあて(いわゆる、考えるポーズ)考えた素振りを見せる。




「ね?どうなん?」




あたしは面白くて仕方がない。



―――普段のお返しだぁっ!



と思って食いかかる。






悠太と悠斗は目を合わせ、話し合ってもいないのにまるで、意見が揃ったような顔をした。






―――さぁっ!どう来るっ!






あたしは構えた。







< 22 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop