双子とあたし。
双方からあたしの頬に向けて人差し指がさされた。
「んにゅっ?!」
口が上手く動かせなくて、あたしはまぬけな声を出してしまった。
そんな声に二人はふっと笑って言った…――。
「「俺たちを騙そうなんて、100年早いよ。」」
「むゅ…」
あたしはなんとか口をすぼめた。
「薫はさ、そんな器用なことは出来ないんだからさ。」
悠斗は頬にぐりぐりと押し込んでくる…。
「そーそー。薫には、向いてないしね。」
悠太もぐりぐりとしてくる。
「ふぁって、こへらひゃんふぱとおふぉっはんふぁもん…。」
全く訳のわからない言葉でも、二人には通じたらしい。
「俺たちがお前にチャンスを与えると思うか?」
―――――…ないな、絶対。
あえて、何も言わない…。
きっと二人はわかっているから。