双子とあたし。




悠太は手を離し、立ち上がった。




「?、ゆうた…?」





ふっとこちらに振り返った…







それは、
悲しみに浸りながらも微笑む顔。



あたしはその姿に目を奪われる…――。






「俺はさ、悠斗と薫がいれば、他は何もいらないから…」





“離れたくない”思いが募った顔。





「何も…、いらないから…」






念押すように悠太は呟く。






あたしと悠斗は顔を見合わせた。


そして、吹き出すようにふっと笑う。





「ゆうたさぁ、今さら何言ってんの?」



「…そうだよ、悠太らしくないね。」





そうしてあたしは悠太に近づいて、彼の手をとった。






「あたしもさ…、ずっと二人の傍にいたいよ。―――…ずっと…、ね?」





あたしに続いて悠斗も悠太の後ろに回り、彼の肩をぽんぽんと叩いた。





「…同じ…だから…。俺らは別々の道を歩くわけじゃないから。」





あたしたちの言葉にただ、悠太は噛み締めるように何度も深く頷くだけだった。








< 25 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop