双子とあたし。
男の人に抱かれたのが初めてだったからという理由ではない。
一瞬で伝わってきてしまった悠太の体温。
――――…それは、今あたしが望んでいた温もり。
あたしの頬が悠太の制服に触れたとき、悠太の心臓の音が聞こえた。
―――近くで聞いた、他人の心臓。
悠太の体温も心臓も全てがあたしに与えてくれる優しさのような気がして…。
――――…あの一瞬が永遠のような気がして…。
あたしの頭はまだ抱かれていると勘違いしていて、
あたしの心臓はバクバクで…
どうしたらいいのかわからないから、とにかく大きく首を振った。
少し治まりつつあるあたしの身体。
―――どうしちゃったんだろ。
今はそれだけしか考えられない。
今は…
悠太の後ろを歩くことしかできないみたいだ…。