双子とあたし。
帰り道は一列で帰った。
横に並ぶことはなく、悠太の後ろを歩くことしかできなかった。
気付いたら悠太は止まっていた。
「え、どうした?」
「着いたよ、薫ん家。」
「あ…」
あたしは悠太の横から出て、玄関を開けた。
「おかあさーん!ゆうた来たよ。」
奥の方から「はあい」という声が聞こえる。
するとまもなく、母がエプロン姿で出てきた。
「いらっしゃい、悠太君。…あれ?悠斗君は一緒じゃないの?」
「あー…、それは…」
あたしが言葉に詰まっていると、悠太は助けてくれた。
「―――体調が…よくないみたいです。」
「あら、そうなの?お大事に言っといてちょうだい。」
母は双子だけに見せる笑顔を作った。
「はい…。」
悠太は平然と母の相手をしていた。
―――…す、すごいなぁ…。
あたしは妙に感心してしまう。
「ちょうど良かったわ。今日、ケーキを焼いたのよ、食べていってね。」
「ありがとう、ございます。」
話が一段落したところであたしは悠太を自分の部屋に呼んだ。