双子とあたし。
けいに握られた手をじっとみつめ、あたしは一緒に走った。
―――今の彼女は強いから…。
「遅れてすみませんでした!」
体育館に着いたとき、すでにみんなは球技大会の練習に入っていた。
けいとあたしは原先生のところに事情を話に向かい、謝っているところだった。
「構わないよ、そういうことはやむを得ないからね。」
今日の原先生は妙に上機嫌だ。
いつもだったら
『グラウンド10周っ!』
とか、地獄の罰則が待っていたはず…。
「あのー…。」
「ん?なんだ?」
あたしは勇気を振り絞って尋ねてみた。
「今日は先生、何か良いことでもありましたか?」
「そうか!お前もわかるんだな!顔から幸せが滲み出ているのかもしれない。」
原先生は出席簿を確認したあと、こちらに笑顔を向けた。
「昨日、娘がな…産まれたんだ。」
「ほんとですか?おめでとうございます!」
あたしとけいは驚きながらも祝辞を送る。
「ありがとう。だから今日は幸せな気分なんだよな。」
その顔は、娘を愛する父親のものだった。