双子とあたし。
「大丈夫。別に部活をやってるわけじゃないし、ね?…食べなよ。」
―――そこまで言われると返す術を奪われたようで…
「…じゃ、お言葉に甘えて…。」
そう言うと柳田君はにっこりと笑って自分のお弁当を差しだしてくれた。
「…ありがとう。」
あたしは自分の箸を取り出した。
「―――…ただし、条件がある。」
「じょ、条件…?」
柳田君は意地悪そいな笑みを浮かべて頷いた。
「俺に、『あーん』てして?」
「…あ?あーん?!」
―――いや、柳田君病人じゃないじゃん!
硬直したあたしを柳田君は不思議な顔をして見ている。
「―――…だめなの?」
「…だめっていうか、…恥ずかしいじゃん!」
ふーん、と納得はしてないみたいだったけど柳田君は返してくれた。
「でもさ、今は誰もいないよ?」
「う…―――」
か…返す言葉が見つからない。
あたしは確認のために辺りを見渡した。
―――確かにいないけど…
あたしは柳田君の目を見た。
本当にやるんですか?、とアイコンタクトをとる。
その視線に気付いた柳田君はにっこりと笑った。
もちろん、と言っているようだった。