双子とあたし。
――――聞こえないつもりでいたかった。
「今、なんて…?」
柳田君は優しくもう一度、ゆっくり言ってくれた。
「俺は、幸島薫さんが…好きなんだよ。」
その言葉をあたしの全ての身体で解釈しようとした。
その間も柳田君は待っていてくれた。
「―――えっと…―――。」
「うん。」
「柳田君はあたしが好きなの?」
「うん、さっきからそう言っているんだけど…――――。」
―――え
「えぇぇぇぇぇっ!」
あたしの驚きにも柳田君はあまりびっくりとはしていない。
ただあたしだけが硬直状態。
「じゃ、じゃあ、柳田君が告白を全部断っていたのも…?」
ロッカーが溢れかえっていた時を見てから、あたしが知ってる限りでも十人以上は告白されていたと思う。
でもそれを柳田君は全部断っていた。
俺には好きな子がいるから、と…―――。