双子とあたし。




「俺に笑ってくれる度に幸島さんへの思いが募っていった…―――。」







―――キーンコーンカーンコーン…




予鈴が鳴る。



その音は今だけ違う音に聞こえる…。






話し込んでしまったね、とお弁当を片付け始める。





そして食べかけのお弁当を持って柳田君は立ち上がった。






「…返事は、急がないから。」






その言葉を残して、走り去っていってしまった。






「…」





あたしだけが、ここに残された。







「―――…お昼、全然食べてないんだけど。」






―――今はこれだけしか呟くことができない。





心に残るあの言葉を紛らわすのに、これしか考えられなかった。











< 96 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop