双子とあたし。
「俺に笑ってくれる度に幸島さんへの思いが募っていった…―――。」
―――キーンコーンカーンコーン…
予鈴が鳴る。
その音は今だけ違う音に聞こえる…。
話し込んでしまったね、とお弁当を片付け始める。
そして食べかけのお弁当を持って柳田君は立ち上がった。
「…返事は、急がないから。」
その言葉を残して、走り去っていってしまった。
「…」
あたしだけが、ここに残された。
「―――…お昼、全然食べてないんだけど。」
―――今はこれだけしか呟くことができない。
心に残るあの言葉を紛らわすのに、これしか考えられなかった。