【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


先生の言葉を右から左に流しながら考える。



泉杏里ちゃんについて。



朝、榎本さんが言った

“やりたい放題”
“思い通りにいかないと機嫌が悪くなる”



果たして昨日そんな感じだったか?



否、そんな感じではなかった。


少し我が儘ではあったけれど、涼に促されて奥の席に行ったし…?



私は機嫌が悪いなんて感じなかった。
それは翔や涼がいたから…?



…わからない。
いくら考えても、私が杏里ちゃんの事なんてわかるわけもなく、机にだらしなく突っ伏す。



答えが一つしかない数学と違って、人の気持ちなんて他人が計れるものじゃない。



不安が渦巻くのは天気のせいか、榎本さんの言葉のせいか…



自分の弱さのせいか。



思わず溜め息が出て、そっと瞼を閉じた。


< 304 / 410 >

この作品をシェア

pagetop