【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
昼過ぎに目が覚めた私は久しぶりの熟睡で頭が重かった。
重い頭をさすりながら、リビングに行けばすでに涼も社長もいた。
「あ、仁菜おはよう」
『…おは…』
「仁菜!元気だったか?」
『…うん。元気だよ』
“おはよう”さえ最後まで言わせてくれない社長は、私の前まで来て満面の笑みを私に見せた。
…社長改め相模壱成(さがみいっせい)。
NASを始め数々の芸能人が所属する相模芸能事務所の社長。
50歳になる社長はまぁ一言で言えば童顔。
社長にはとても見えないし50歳にも見えない。
ましてや目尻を下げてたれ目な目をさらに垂らして、ふにゃりと笑う社長はただの子煩悩なパパって感じ。
ガミさんと涼のたれ目は社長譲り。
「今日は4人で食事にでも行こう」
にこにこ顔の社長に涼は「なぁーんでいい年こいたおっさんと俺らが飯食わなきゃなんねーんだよ」とか毒づいてたけど、そんなのは毎回の事だから社長も気にもとめない。
『…でもガミさんは?』
私より遅く寝て(?)私より早く起きたっぽいガミさんがそういえばいない。