【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
目を覚ました私に声をかけたのは化粧バッチリのガミさん。
「あ、起こした?」
そう言ったガミさんは「まだ寝てていいよ」と付け足した。
…部屋はまだ薄暗い。
ベッドサイドに置かれた時計を見ればまだ7時前だった。
ふわふわのダブルベッドはガミさんのもの。
つまりこの無駄に広い部屋はガミさんの部屋。
机には書類が大量で、事務所のデスクと同じ惨状。
部屋の一角にあるのはガミさんの趣味のお酒。
部屋にミニバーなるものを作ってる彼女は毎夜ここで一人酒でもやっているのだろう…
『…涼は?』
「まずそこ?」
苦笑いしたガミさんは「アイツ、部屋で寝てる」と教えてくれた。
ていうか私が眠ってまだ3時間くらいしか経ってないという事に気付く。
涼は私の手を握って最近の仕事はあーだとか、客がうざいとか散々愚痴っていた。
けどそれを子守歌代わりに眠りについたのを思い出す。
『…ガミさん、どこか行くの?』
「は?…あー私今帰って来たのよ」
『…三十路女は忙しいのか』
こんな時間まで働いていたのかと思うと、ガミさんも大変なんだな。
…今更ながらに気付く。
それと同時にいつ寝てるんだろう?という疑問が湧き上がった。
「仁ー菜?お姉様をからかうのはやめなさい。」
『…うん。ごめんね、もう少し寝るよ』
「今日は夜までオフだからパパが昨日の埋め合わせするって張り切ってたわよ」
その言葉を聞いて少し微笑んだ私は、そのまま夢の世界に落ちた。