不器用な僕等の唄を

「…え。」

「その家族が。」

「佐々木…紘波のお父さんの家?」

だから、本当は透子はあたしの従姉妹に当たる。

さっきの話の最後の方を聞いていたらしい。

野田ちゃんの方を見たらあたしと同じ格好をして天井を見ている。

たまに血の繋がりってなんなのかよく分からなくなる。

血縁だけが全てじゃない。
でも、あたしは血に縛られている。

透子に言ったら、嘲笑われるだろうか。

だったら植物に成り下がれ、って睨まれそう。

「…透子ちゃん、遅くない?」

その言葉に立ち上がって「ちょっと行ってくるね。」と部屋を出た。



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