不器用な僕等の唄を

隣にいる香坂は全然動揺していない様子で、夜の街に出てるんだと気づいた。

夜の街に行けば、あたし等みたいのはごまんといる。

「持ってる。」

「五円玉両替してもらって良い?」

あたしが足を止めると、横にいた男子も足を止める。

カバンの中から財布を出して一円玉を五枚出した。

「ありがとう!」

手を振る桔梗に「じゃあね。」と別れる。

また集団は動き出す。


…と思った矢先。

グイッと何かに腕を引っ張られて痛みが走った。

「…警察犬の登場だ。」

誰かが呟く。

多分、紘波。



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