【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
私もナツに伝えなきゃいけないことがある。


でも、言うのは今じゃない気がする。なんでかって言われても分からないけど。


「そういえば冬花の話は?俺に言いたいことがあったんじゃなかったの?」


「あるけどとっておく。私達のひと夏が終わるまで内緒ね」


ナツの顔を見上げて笑うと、日焼けして小麦色の肌をしたナツが、その肌とは正反対の白い歯をニッと見せた。


ナツの笑顔は私に、甘ったるい、ふんわりとした微熱をもたらす。


この微熱を感じていられるのは、本当に後少しなんだと思いながら、私は再びナツの胸板に顔を寄せた。


独り占め出来る間に、めいっぱい、私だけで独り占めしよう。そして、離れてもこの温もりを忘れないように。
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