想い、果てるまで
「壽吏!!」
私は、自分を呼ぶ声にはっと気付いた。
その声の持ち主は、今からバトンを繋ごうとしている相手。
「お前にしてはよく頑張ったよ!まぁ俺だったら全員越せたけどな!」
笑顔でそう言いながら、私の手を握ってくる紫波。
バトンを差し出してるのに、その手を握ってくる。
何してんの?
どんどん前の選手との差が開いているよ?
「悪かったわね!手加減したのよ!」
「おお、言うねー」
馬鹿。いいから早く行きなさいよ!
そんな笑顔見せないでよ。
一通り会話が終わった後、紫波は不意に表情を崩し、今までの子供っぽくない、どこか大人びた笑顔を見せた。
「任せろ」
そして、私の手を握っていた手を離し、バトンをしっかりと受けとる。
「---っ任せる!」