濡れた体温ごと奪って


「…翔ちゃん…ありがとう」




翔ちゃんからは何の返事も返って来ない中、私は力いっぱいぎゅっと抱きしめていた。




「翔ちゃんが言ってくれなきゃ…私、また…同じ事なってたかもしれないし…それにね…」


「……………」


「…私、スッキリしたから…お母さん泣いてたけど…私はスッキリしたんだ」




お世辞じゃないよ本当なんだ。


翔ちゃんが言ってくれなかったら…私、ずっと隠し通さなきゃいけなかったんだから…。


本当にスッキリしたんだよ。



< 109 / 259 >

この作品をシェア

pagetop