ティーン・ザ・ロック
「ごめんなさ…っ」
ぽろぽろぽろぽろ
真珠の様な大粒の涙を流して、顔を真っ赤にさせる彼女。
怒りたいのに、これじゃあそんなわけにはいかない。
後から来てる人達も、何事かとこちらを見て、あたしのみすぼらしい恰好に苦笑していた。
「……もういいよ」
「葉瑠…っありがとう…っ!!」
……疲れた。
騙されるフリも簡単じゃあない。
「……悪いけど、先にコテージに戻るよ。泥も付いてるし、着替えたいから」
「あ、俺ついていこうか」
巧実君の申し出に首を振って断る。
「一人で行くよ。5分もあれば着くから」
じゃあ、と言って元来た道を戻ろうとした時。
「……逢坂さん。…大丈夫?」
「杉澤君…」
他の班に混じって行動していた彼が、目の前に居た。
「…大丈夫だよ」
笑顔で答える。彼は一瞬黙って、そして。
「……一緒に行こう」
あたしに手を差し伸べて来た。