ティーン・ザ・ロック

終わりの始まり










コテージのお風呂は、想像以上に大きい事が分かった。


人がいないせいか、温泉にでも来たような解放感。



手のひらでお湯をすくうと、指の間からゆるゆると、滑らかに落ちていくのが心地よかった。


ふう、と息を吐きながら木の縁に身体を預け、こうなった経緯を思い出す。




杉澤君に支えられてコテージに戻ってくると、あたしの姿を見て女の先生が慌てて駆けつけて来た。


「何があったの!?怪我は?」


あたしの代わりに杉澤君が足の怪我の事を言うと、先生は手当の前に体の汚れを落とすようにと言ってくれたのだ。


それでこうして人目を気にせず、ゆっくりとお湯に浸かる事が出来ている。



どうせ一人で入る事になるのなら、誰も居ない方が気分的にも楽だ。




少しだけ痛む足を、引きずる様にして脱衣所に出る。



制服はとてもじゃないけど着れる状態じゃない。



持ってきていたジャージに着替え、ロビーで待っている先生たちの元に向かった。






「大丈夫?制服はクリーニングしてあげるから預かるよ」


「はい」


「貴重品とか入ってないよね?」


あ、ケータイを入れっぱなしだったけど大丈夫だろうか。


取り出してみると、正常に起動しているのが確認できてホッと胸をなでおろした。



「じゃ、ここ座って。湿布くらいで大丈夫そうだね」



ひんやりとした湿布が張られ、捲れてしまわない様に包帯を巻かれる。



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