ティーン・ザ・ロック

揺らめく、心











葬式の日は、病院から帰ったその時の様に


厚い雲が空を覆う、とても暗い日に行われた。



喪主は叔父さんが勤めてくれる事になり、あたしは、弔いに来てくれた人の受付を任された。


記帳して貰いながら、叔父と一緒に挨拶をしている兄を見る。



通っている高校の制服をきちんと着こなしたその姿を見るのは


きっと入学式依頼だろう。



いつもより何倍も真面目そうにしている兄の姿を両親が見たら


『嵐でも来るんじゃないか』なんて言いだしそうで


想像したら少しだけ頬が緩んだ。




「葉瑠ちゃん」



「あ、優さん…」



長い髪を綺麗にまとめ、黒いレースの付いた飾りを付けた優さんに声をかけられる。



「もう、葬儀が始まるから。ここ、代わるわ」


「あ、じゃあ…お願いします」



ニコリと微笑む彼女にお礼を言ってから


参列する弔い客を掻き分け、やっとの事で兄と叔父の横に来る事が出来た。



「葉瑠。大丈夫か?」


兄はまたあたしを心配してくれる。


「大丈夫。…ちゃんと見送ってあげないとね」


二つ並んだ、桐の棺を見つめ、もう今日でお別れなんだ と気を引き締める。




< 16 / 337 >

この作品をシェア

pagetop