ティーン・ザ・ロック
入場も済ませ、開式の辞から僧侶読経に。
長いお経の後、お焼香へと移る。
喪主の叔父が先頭で、色んな方向にお辞儀をしてからお焼香を上げている。
あたしと兄はその後ろで、静かに順番を待っていた。
すると、あちらこちらでひそひそとする、さまざまな声色が耳に入ってくる。
あの子たちも可哀想にねぇ
まだ学生さんでしょう?
これからどうするのかしら…
父方の…ほら、喪主になった御兄弟。あちらに預けられるんじゃないかしら
それならご両親も安心でしょうねぇ…
話す人は違えど、大体がそんな話で。
あたしだってまだ先の事は分からないのに、皆勝手に将来を決めつけている。
こういう話し、なんかヤダなぁ。
小さくため息を吐いた所で、二人の順番がやってきた。
三つあるうちの、二つの焼香台に兄と一緒に立つ。
兄にも先程の話声が聞こえていた筈だったが
兄が何を考えているか
横顔しか見えないここからじゃ、その思考は読みとれなかった。
あたし達に続き、親族が。そして会葬者が焼香を済ませ
その後も滞りなく葬儀を終える事が出来た。
涙ながらに挨拶を済ませた叔父を見て、あたしも兄も思いっきり泣いてしまっていた。
「さ、もう…行こう」
叔父に肩を抱かれ、美しい光を纏う車に乗り込み
出棺となった。